
渡航前面談レポート#5:吉田山
アーティストでありキュレーターとしても活動する吉田山さん。ニューヨークへの滞在では、自身がこれまで手がけてきた出版物や上映会の企画等を携え、現地のアート・デザインコミュニティとの持続的なネットワーク構築を目指します。渡航前に行われたアドバイザーたちとの面談では、現地のオーディエンスに響く台詞の重要性や、既存の繋がりを広げていくこと、そして具体的な上映会場の候補について意見交換がなされました。帰国後の活動も見据え、日本とニューヨークを繋ぐ「ブリッジ」としての役割を模索する吉田さんのプランについてレポートします。
面談実施日:2026年3月11日、31日、4月24日

アドバイザー:戸村朝子
ニューヨークで柔軟な交流関係を生み出す
アドバイザーの戸村朝子さんとの面談では主に、吉田さんのニューヨーク滞在中の活動計画に関して、知り合いを増やしていくためのコミュニケーションのコツや心構えについて主に話し合われました。
吉田さんからは、達成目標として、知り合いを増やし、今後の活動に向けたネットワークをつくりたいこと、また短期間で信頼関係を構築するための課題が述べられ、自身の活動を紹介する本や、ニューヨークでの上映会開催などの案が共有されました。
戸村さんからは、ニューヨークのオーディエンスに自身のことを理解してもらうためには、説明の際の表現を現地に合わせて調整することや、自身の強みを端的に英語で伝える「決め台詞」を準備しておくことが大事であり、そのうえで興味を持ってくれた人とは持続的な関係性を築くことができるのでは、というアドバイスがありました。
また、キュレーターという吉田さんの立場を活かし、同時期にニューヨークに滞在している他の採択アーティストと連携する可能性にも言及。イベント開催時などに互いのネットワークを活用できるのではないかと話し合いました。
最後に戸村さんからは、現地での活動を通して広がる機会に応えられるよう、アポイント取りや英語での対話の練習など、渡米前にできることは可能な限り事前に行い、滞在中はできるだけフレキシブルに動ける状態でいることが大切であることが伝えられました。
アドバイザー:エキソニモ
キュレーターとしての経験を活かして新しい繋がりを開拓する
エキソニモの千房けん輔さんと赤岩やえさんとの面談では、アーティストであり、キュレーターでもある吉田さんが、これまでの知見を活かして、ニューヨークで知り合いを増やしていく方法について話し合われました。
吉田さんからは、これまでに出版した自身の本や日本で予定している企画を携えて、ニューヨークで活動する新進のアーティストやデザインなど他分野のコミュニティとのネットワークを築き、その後の活動にも活かしていきたいという構想が共有されました。
エキソニモからは、ニューヨークでは日本について興味を持つ人が一定数いながらも、日本の最新アートシーンについての情報がなかなか得られないため、吉田さんの知見が大きな強みになるという意見があり、現地の人と知り合いになる機会を増やす方法として、日本のアーティストの最近の活動を紹介する動画の上映会を開催する、吉田さんが最近興味があるという「歯」にまつわるリサーチから、歯の写真や3Dスキャン撮らせてもらうなどの案について意見交換が行われました。さらに、著名なキュレーターやアーティストにアポイントを取って会うだけでなく、吉田さんがこれまでにキュレートしたアーティストや現地で知り合ったアーティストなど、すでに持っている関係からも繋がりを開拓し、「わらしべ長者」のようにネットワークを広げていくことで、滞在後も続く友人のようなつながりが生まれ、吉田さんが帰国後に予定している展覧会など、将来的な企画へ発展する可能性についても議論されました。
また、紀行文ZINEのような形でニューヨーク滞在を紹介したいという吉田さんの話題から、キュレーターとして、日本の面白いものと、ニューヨークの面白いものも相互に紹介する「ブリッジ」としての役割を担う可能性についても話し合われました。
アドバイザー:サロメ・アセガ
関係構築にむけてテーマと場を選ぶ
アドバイザーのサロメ・アセガさんとの面談では、吉田さんがニューヨーク滞在中に取り組もうとしている活動に適した場所や団体についての意見交換がされました。
まず吉田さんから、検討している活動のひとつである、日本で注目される若手アーティストを紹介する上映会企画についての説明があり、それに対してアセガさんからは、上映する映像には何か共通のテーマがあった方が良いのではないかという意見が出ました。
もうひとつの活動として、自身のこれまでのプロジェクトにまつわる本の販売を検討していることに対しては、アートやデザインにまつわる本の出版や印刷、書店運営、ワークショップ、展示などを行っている、地元アーティスト運営のSecret Riso Clubというスペースなどが紹介されました。
また、映像の上映に適した会場として、アート、建築、映像などについてのプロジェクト、シンポジウム、展示などを行うe-fluxという団体の上映スペースが提案され、上映の際に必要な費用やスタッフなどの具体的な内容が挙がりました。こうした場所でプロジェクトを行う際には企画がマッチしていることが重要であり、そのうえでも映像のテーマがクリアである必要があることが強調されました。
アドバイザー:イェスル・ソン
自身の活動を誰に、どこで届けるか
アドバイザーのイェスル・ソンさんとの面談では、吉田さんがニューヨークで上映会を検討している映像は、2020年というコロナ禍に活動を始めた自身と同世代のアーティストによるパフォーマンスアートやビデオアートについてのドキュメンタリーになる予定であることが紹介されました。
それに対してソンさんは、その映像を誰が、どういうコンテクストで見ることを想定しているのかという質問が投げかけられ、ジャパン・ソサエティなど日本に興味を持つ人々が集まる場所や、関連する展示と合わせて開催することなどが提案されました。また、上映は一度きりの機会になるため、自身を知ってもらう手段として、オンライン配信の可能性も言及されました。
本についても、販売だけでなく、本の制作に関わるワークショップなどを実施している場所もいくつかあるため、実際に他の人と一緒に手を動かすことでより親しい関係が築けるのではないかという意見が出ました。
そして、海外からニューヨークに渡り活動するうえでの心構えとして、誰かに連絡する際になかなか返信がなくてもめげないことや、場所によって集まる人がまったく異なることをあらかじめ踏まえたうえで訪問する場所を決めると良いというアドバイスがされ、同じ場所を複数回訪れることでより親密な関係を築けるのではないかといった話し合いがされました。





