会議室でプレゼンテーションを行う様子。参加者たちが木製テーブルに座ってノートパソコンで作業をしており、大型モニターには青い地図が表示されている

初回面談:世界を見据えるメディアアートクリエイター育成プログラム:WAN

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CG-ARTS(公益財団法人画像情報教育振興協会)
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2025年度、文化庁の補助金により日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金(Japan Creator Support Fund)」の一環として、メディアアート分野のクリエイター育成プログラム「WAN: Art & Tech Creators Global Network」が始動しました。

当プロジェクトは、グローバルに活躍できる国内の有望なメディアアートクリエイターを戦略的に支援し、国際的なプレゼンスを強化することを目指します。WANではニューヨークを拠点とし、New Museumが運営するカルチュラル・インキュベータープログラムNEW INCとも連携を行います。同施設ではデスクの利用やプレゼンテーションなども予定されています。

第一期採択者に選ばれたのは、青木竜太、宇佐美奈緒、木原共、田中みゆきの4名。採択者が現地でネットワーキングを進めるにあたり、どのような課題に向き合い、どのような方法を模索していくのかを話し合う、全体ミーティングが行われました。

芸術監督・社会彫刻家である青木は、人的ネットワークの構築を軸とした滞在を計画しています。現地では、アジア系のアーティストや文化人、キュレーターへのインタビューや文化施設の訪問を通じてリサーチを進めるほか、少人数での集まりや20〜30名規模のギャザリングを段階的に開催し、対話の場を生み出すことを目指しています。

ジェンダーやセクシュアリティを主題とする宇佐美は、ディープフェイクポルノや盗撮といったデジタル時代の性被害をテーマにした新作映像《Clean Up My Pixels》を制作中です。3DCGと実写映像を交え、痛みとともに立ち上がる身体の語りを構成していく予定です。また、現地のフェミニズム文脈にも接続しながら、作品プレゼンテーションやトークイベントを通じた対話の場づくりにも取り組んでいきます。

ゲームとアートの交差点に関心を寄せる木原は、渡航を機に、現地のインディペンデントなゲームシーンやアートシーン、出版の現場との接点を探っています。NYU Game Centerとのネットワーク形成をはじめ、ZINE制作、プレイテスト、レクチャー企画など複数の構想を並行して進め、リサーチと実践を往復しながら活動を展開する予定です。

アクセシビリティ研究や社会福祉の分野でも活動する田中は、ニューヨーク再訪(*1)を通じて障害当事者との関係性を再構築しようとしています。かつて所属していたNYU障害学センターや地域コミュニティとの再接続を図りながら、コロナ禍以降の支援政策や文化施設におけるインクルーシブな取り組みについて多角的なヒアリングを行います。

今後は、本プログラムアドバイザーとのオンライン面談も予定しており、各自の関心やプロジェクトに沿ったアドバイス機会につながることが期待されます。アドバイザーとの面談の様子は、公式でも活動報告をお知らせします。

(*1)2022年7月から12月までACCのフェローシップを経てニューヨーク大学障害学センター客員研究員としてニューヨークに滞在。


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