NY滞在レポート♯2:宇佐美奈緒

個展を開催し、多くの出会いが

2月19日から2月28日までの10日間、All Street Galleryにて個展を開催しました。19日にはオープニングレセプション、20日にはトークイベントを実施しました。今回のために制作した新作の映像作品と立体作品、さらに過去作であるビデオゲーム作品の計3作品を展示しました。

All Street Galleryはマンハッタンのチャイナタウンに位置し、アーティスト・コレクティブによって運営されているスペースです。ニューヨークには大規模なコマーシャルギャラリーも多くありますが、このようにインディペンデントに運営されているギャラリーも数多く存在しています。

ギャラリーにはプロジェクターやスピーカーなどの設備が整っており、スタッフも非常に親切で協力的でした。搬入期間は2日間と短く、当初は間に合うか不安もありましたが、現地スタッフと日本から来ていたWANの事務局メンバーのサポートのおかげで無事に展示を完成させることができました。

今回は作品や機材・パーツをスーツケースに入れて入国する方法を取りました。コンピュータやケーブル、コントローラー、3Dプリントした立体作品などをすべてスーツケースに収めて運びました。

WANのアドバイザーの方々からは、Instagramを活用した広報について助言をいただきました。その効果もあり、オープニングとトークには多くの来場者が訪れました。

19日のオープニングには、アーティスト、キュレーター、研究者、ギャラリー運営者、ニューヨークの大学で教えている教授など、さまざまな分野の人々が集まりました。展示作品のテーマは性被害という深刻な内容でしたが、来場者の中には自身の経験と重ね合わせながら感想を語ってくださる方も多くいました。また、アメリカで問題となっている性犯罪(デート・レイプやデート・レイプ・ドラッグ)についても教えていただきました。

同じテーマを研究しているアーティストも来場し、彼女の作品について話しているうちに、将来東京で一緒に展示を行う構想について話し合うこともできました。

20日には、「Invisible Gaze in Public and Cyberspace」というテーマのトークを開催しました。モデレーターにはWANアドバイザーでNEW INCディレクターのサロメ・アセガを迎え、スピーカーとしてアーティスト・研究者でUCLA准教授のミンディ・セウ、そしてコペンハーゲンのデジタル人類学者であるアイア・エルブケを招きました。

トークでは、公共空間とインターネット空間の双方で起きている性被害について議論しました。「現在のインターネットやSNSの空間を、私たちはどのように修復することができるのか」という問いを起点に、創造的で建設的な意見交換が行われました。

来場者の中には、アクティビズムとアートのあいだを横断しながら、新しいオルタナティブなソーシャルプラットフォームを模索しているアーティストもいました。

展示とトークの期間を通して、多くの同志と出会い、それぞれの研究について語り合う機会を得られたことは非常に印象的でした。ニューヨークでは、フェミニズム、クィア、アクティビズム、サイバーセキュリティといったテーマを研究する人々に、驚くほど自然に出会うことができます。あまりにも偶然に、そして頻繁に出会うため、少し拍子抜けするほどでした。

ニューヨークの大学を訪問し、研究を語り合う

ニューヨークでは、特にビデオゲームやメディアアートを教えている大学や専攻を訪問しました。NYU(ニューヨーク大学)のITPおよびGame Center、さらにParsons School of Design、Pratt Instituteを見学しました。
NYUのITPでは、修士課程の学生によるプロジェクトのフィードバック会に参加しました。学生がどのような作品を制作し、どのような問題意識を持っているのかを知る貴重な機会となりました。
またNYU Game Centerには、これまで世界中で開発されたあらゆるビデオゲームソフトやコンソール、コントローラーなどが収蔵されており、学生が自由に試すことのできる環境が整っています。こうした施設や設備を見学する中で、多くのインスピレーションを得ることができました。

ネットワーキングと仲間の必要性

Woman's Empowermentプログラム「Tomodachi」を運営している方にも話を聞く機会がありました。アメリカは日本よりも人種的多様性が大きく、そのためジェンダー・ギャップの経験も人種によって異なる側面があることを教えていただきました。
また、このような活動を続けていくためには、決して一人で抱え込まないこと、必ず仲間を見つけることが重要であるとも言われました。さらに活動資金を確保すること、そして自分自身のセルフケアを大切にすることが、継続的な活動にとって非常に重要であるというお話を伺いました。

(宇佐美奈緒 アーティスト)